超初心者向け!会社を分析してみよう⑩生産性を測る指標

会社の生産性を測る指標とは?

企業は利益を生み出すために活動しているといっても過言ではありません。

企業は人件費を含めた費用を抑制することは大きな経営課題といえます。

しかし、人件費を抑えてしまうと従業員の士気にも影響するため会社は生産性を高めつつ適正な人件費を捻出する必要があるということです。

また、付加価値を生み出せない会社は生き残れないともいわれます。

ここでいう「付加価値」とは、会社で仕入れた材料を使って自社で製造した製品ということができます。

この製造した製品には材料費や人件費がかかっていますがそれらを差し引いたものが「付加価値」となります。

会社経営の3要素は、

  • モノ

このうち「人」という経営資源の有効性を測るために付加価値を用いた生産性の分析は欠かすことができません。

会社の生産性を測る指標①:労働生産性

この労働生産性という指標は、従業員一人当たりどれだけの付加価値を生み出しているかを示しています。

労働生産性は業種によってことなるため、比較する際には同業他社と比べることがベストです。

労働生産性は企業がシステム化やオートメーション化が進んでいるほど大きくなる傾向にあります。

ということはこのようなシステム化やオートメーション化が難しい業種は労働生産性は低くなる傾向にあります。

①労働生産性の計算方法について

会社の生産性を測る指標①:労働生産性

労働生産性 = 付加価値 / 従業員数

目安となる数値:1000万円以上

  • この割合が高いほど、従業員の利益貢献度が高い
  • この割合が低いほど、従業員の利益貢献度が低い
付加価値の計算方法について

労働生産性を求める際には付加価値をまず計算する必要があります。

ここでこの付加価値について算出する方法について解説します。

一般的な算出方法(簡易計算法):小売業や卸売業

付加価値 = 売上高 ー 売上原価(仕入原価)

加算法:日銀方式

付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 賃借料 + 減価償却費 + 特許料 + 租税公課

原産法:中小企業庁方式

付加価値 = 売上高 ー 外部購入費

外部購入費には、材料費・部品購入費・外注加工費・他社の商品やサービスを利用するのにかかった費用のことをあらわします。

この付加価値を算出することが少し難しいですが、ひとつ例を挙げてみたいと思います。

上図から労働生産性を算出していくのですが、ここでは付加価値の算出は簡易計算法を使って算出します。

簡易計算法では売上高から売上原価を差し引いた額を付加価値として計算します。

それをもとに算出すると上記のように一人当たりの労働生産性は、11,428,571円となりました。

この計算からは従業員の利益貢献度が高い会社であるといえます。

会社の生産性を測る指標②:労働分配率

労働分配率は、人件費の総額から見た生産性をみるのに使う指標です。

労働分配率の「分配」は、会社の付加価値を他の費用との割合で見たときにどのくらい人件費に使っているかをあらわします。

人件費を抑えれば生産性は向上しますが、給料を抑えすぎると従業員の意欲低下や優秀な人材の流出につながります。

生産性を高めて給与水準も高く維持するのが最も理想的です。

②労働分配率について

一般的に労働分配率の割合が低ければ低いほど人件費が抑制され生産性が高いということになります。

しかし上記のように人件費を抑えすぎるのは難しいため、一般に50%以下に抑えるのが望ましいとされています。

会社の生産性を測る指標②:労働分配率

労働分配率 = 人件費 / 付加価値 × 100

目安となる数値:50%以下

  • 割合が高いほど、人件費の負担が重い
  • 割合が低いほど、人件費の負担が軽い

仮に労働分配率が100%の会社だった場合、その会社は付加価値を全て人件費で消費するため、収益力も成長力もマイナスになります。

労働分配率は、付加価値を増やすか人件費を減らすことで減らすことができます。

労働生産性を上げて余計な人件費をかけないことが経営効率の向上につながります。

それでは労働分配率の例を挙げてみたいと思います。

上図のとおり損益計算書から労働分配率を算出することができました。

付加価値については上図のとおり売上高から売上原価を差し引いて計算しました。

経営分析をしていこう:序章

ここまで記事を読んでくれた方は、決算書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の見方が少しは理解できたと思います。

また、会社を分析するための指標を解説してきました。

  • 会社の成長性を測る6つの指標
  • 会社の収益性を測る9つの指標
  • 会社の安全性を測る10の指標
  • 会社の効率性を測る10の指標
  • 会社の生産性を測る2つの指標

これらの指標は単に良いか悪いかだけを見るものではありません。

「売上」、「費用」、「資産」の管理がうまくいっているかを客観的に示すためにつかうのがこれらの指標になります。

どうしてその数値が上がったのか(または下がったのか)について深く検証していくことが大切です。

経営指標から会社の長所や弱点を総合的にみていくことが大切になってくる

指標目安となる数値分析会社の数値評価
売上高伸び率3%
営業利益伸び率3%
経常利益伸び率3%
当期純利益伸び率3%
総資本増加率0.2%
自己資本増加率3%
ROA(総資本経常利益率)5%
ROE(自己資本当期純利益率)10%
売上高総利益率20%
売上高営業利益率4%以上
売上高経常利益率4%以上
売上高当期純利益率2%以上
売上高販管費率20%以下
自己資本比率50%以上
流動比率200%以上
固定比率100%以下
負債比率150%以下
借入金対自己資本比率100%以下
正味運転資本プラスである
インスタント・カバレッジ・レシオ3倍以上
総資本回転率1回以上
自己資本回転率5回以上
売上債権回転率5回以上
仕入債務回転率低いほど良い
棚卸資産回転率20回以上
固定資産回転率5回以上
労働生産性1000万円以上
労働分配率50%以下
評価:目安より高ければ◯、ほぼ目安の数値なら△、目安より低ければ×と記入する

少し大きくなりましたがこれまでに解説してきた指標をひとつの表にすると上図のようになります。

会社を分析するにはこのようなリストを作成して数値を客観的にみていくことが求められます。

リストに会社の分析を行って、どの分野に弱点があるのかをまず見ていく、その次にその弱点の原因は何かを検証していくと言った具合です。

このようにひとつひとつの指標だけでは漠然としていても全体で見ていくことで弱点がはっきりと見えてきます。

次からはもう少し踏み込んだ決算書の使い方について解説していきます。

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